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エクイノム・スピード遺伝子検査について

エクイノム・スピード遺伝子検査は、エクイノム社(アイルランド)が開発した筋肉量を調整するミオスタチン遺伝子の型(以下、遺伝子型)を分析して競走馬の距離適性を推測するものです。この遺伝子型には、C:C、C:TおよびT:Tの3つの型があり、競走馬の距離適性との関連性が統計学的に明らかにされています。

本検査は欧米、アジアおよびオセアニアの競馬開催国において普及しています。日本では公益財団法人競走馬理化学研究所(以下、競理研) が、2013年6月にエクイノム社とライセンス契約を締結しました。このことにより、日本の競走馬を対象にエクイノム・スピード遺伝子検査(特許第5667057号)を実施できることとなりました。

C:C型 C:T型 T:T型
C:C型 短距離適性 C:T型 中距離適性 T:T型 中/長距離適性

ミオスタチン遺伝子型と競走距離の関係について

エクイノム社はアイルランドおよびイギリスの競走馬を対象として「競走距離別の勝馬に占める遺伝子型の割合」について報告しています(学術文献:PLoS One, 2010, 5, e8645)。

グラフ1

C:C型の距離適性

  1. 1000 m 競走で75%、1200 m競走で65%の勝馬がC:C型でした。
  2. C:C型が勝利した競走の98%は1000~1600 mの距離でした。
  3. C:C型は速いスピードを持つ、短距離タイプです。
  4. 最も適した競走距離は1000~1600 mです。

C:T型の距離適性

  1. 2400 m競走で55%の勝馬がC:T型でした。
  2. C:T型が勝利した競走の約70%は1600~2400 m、50%は1000~1600 mの距離でした。
  3. C:T型は速さとスタミナを併せ持つ、中距離タイプです。
  4. 最も適した競走距離は1400~2400 mです。

T:T型の距離適性

  1. 1000 mあるいは1200 m競走の勝馬にT:T型はいませんでした。
  2. T:T型が勝利した競走の90%以上が1600 mを超える距離、80%以上が2000 mを超える距離でした。
  3. T:T型はスタミナに優れた、中~長距離タイプです。
  4. 最も適した競走距離は2000m以上です。

ミオスタチン遺伝子型を調べることにより、距離適性に応じた調教やレースを選択することが可能になります。

ミオスタチン遺伝子型と発育について

ミオスタチン遺伝子は、馬の発育にも関わっています。エクイノム社の報告では、C:C型は他の型よりも発育が早く、2歳馬では最も良い成績をあげています。そしてアイルランドおよびイギリスの競走馬を中心に、平均初出走月齢および平均初勝利月齢を調べた結果、T:T型よりC:T型、C:T型よりC:C型の方が、早くデビューして初勝利をあげていることがわかりました。

ミオスタチン遺伝子型を調べることで、若馬の成長の見通しや育成方法の参考になります。

グラフ2

ミオスタチン遺伝子型の遺伝様式について

ミオスタチン遺伝子はメンデルの法則に従って両親から子に遺伝します。そのため種牡馬と繁殖牝馬の遺伝子型の組み合わせによって、生まれる子馬の遺伝子型を推測することができます。下図は種牡馬と繁殖牝馬の遺伝子型と子馬に現れる遺伝子型の確率を示しています。

グラフ3

種牡馬、繁殖牝馬ともにC:C型である場合、生まれる子馬は100% C:C型となります。

例1

両親の片方がC:C型で他方がT:T型の場合、生まれる子馬は100% C:T型となります。

例2

両親が共にT:T型の場合、生まれる子馬は100%T:T型となります。

例3

両親の片方がC:T型で他方がC:C型場合、生まれる子馬は50%の確立でC:C型またはC:T型となります(T:T型にはなりません。)。

例4

両親の片方がC:T型で他方がT:T型場合、生まれる子馬は50%の確立でT:T型またはC:T型となります(C:C型にはなりません。)。

例5

種牡馬および繁殖牝馬のミオスタチン遺伝子型を知ることにより、子馬の距離適性を考慮した計画的な配合を行うことが可能となります。

※ 両親の片方あるいは両方がC:T型の場合、生まれた子馬の遺伝子型を確定するためには、子馬の検査が必要です。